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仙台高等裁判所 昭和34年(ラ)53号 決定 1960年10月28日

抗告人 光本興産株式会社

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告理由の要旨は、結局、訴訟代理人が同一期日に数件の事件の指定を受けて出頭する場合、その旅費日当は実費計算によるべく、各事件毎にその全部を支給するのは不当であるのに、原決定は本件訴訟費用額確定事件の本案訴訟における原告代理人大川弁護士が同一期日に他の訴訟事件の代理人としても出頭していることを考慮しないでその旅費、日当を確定しているから、その点において違法であり、取消を免れないというのである。

しかしながら、訴訟費用額の確定というものは、当該本案訴訟事件につき当該訴訟記録に基いて、それにあらわれたところによつて訴訟費用額を申立人の提出した費用計算書記載の項目がはたして訴訟費用に該当するか、すなわち権利の伸張または防禦のために必要なものであつたかどうか、また、右記載の計算額が妥当であるかどうかなどの点を調べてその額を確定することであり、またそれで足るものというべきである。従つて抗告人が主張するように本件訴訟費用額確定事件の本案訴訟事件の訴訟代理人が同一期日に他の訴訟事件の訴訟代理人として出頭したようなことがたとえあつたとしても、本件訴訟費用額の確定に当つて、それを考慮する必要はない。(もつとも、右のように解するならば、他の訴訟事件でも同じような訴訟費用額の確定があることにより、右のごとき訴訟代理人は同一期日に出頭しながら二つの訴訟事件につき二重に((場合によつては複数の訴訟事件につき幾重にも))旅費、日当の支給を受けたがごとき結果を見ることがあり得るが、右訴訟代理人を依頼した当事者が同一人であるなら格別、そうでない限り((抗告人も本件につきそうだとはいつてない。))、費用計算書等により訴訟費用額確定申立人が訴訟代理人に右旅費、日当を支給したものと一応認められる以上、当該訴訟費用額確定事件としてはこれを計上すべきものと解されるから、やむを得ないことがらである。)よつて原決定には抗告人主張のような違法はなく、本件抗告はその理由がないから、民事訴訟法第四一四条、第三八四条に従い、主文のとおり決定する。

(裁判官 村上武 上野正秋 鍬守正一)

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